この夏、7月16日(土)~8月10日(水)まで、3階のギャラリースペースにて、辻堂に工房をお持ちの、遠藤ひろし先生の、白磁を中心とした作陶展を開催いたしました。白磁の壺や花器が中心で約50点の作品が並びました。
6月に遠藤ひろし先生の工房に初めて伺い、やわらかい雰囲気の、温かみのある白磁の数々を一目見て魅了され、陶展の運びとなりました。白磁はどちらかというと、硬質で完璧で近寄りがたいものが中心で尊ばれますが、こんな白磁があったのか、というのが印象です。また、特に目に新鮮だったのが、小花が衣装のように白磁の周りに施された精密な意匠の壺でした。優しく語りかけてくるようで、周りの空気感がやわらぐようです。
8月1日(月)14:00~、遠藤ひろし先生を囲んでお茶を飲みながら陶芸のお話を伺う「茶話会」を開きました。白磁の作家さんのお話を伺うのは貴重な機会なのでご案内しましたら、遠くは東京や港北ニュータウンからもお出かけ頂きました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。先生の奥様も同席なさり、先生の半生や陶芸への思い、技術的なことまで幅広くお話に花が咲いて、夕方遅くまで時間を忘れるほどでした。
この白磁のやわらかさを出すために、材料、焼成方法と先生はいろいろとご苦労されたそうです。また、小花を浮かしてみせる技術や、本体への接着方法など、他では丸秘のお話までお話くださった、おおらかな遠藤先生のお人柄にまた参加者一同魅了されました。遠藤先生は、白磁で人間国宝の井上萬二氏の、白磁の抹茶茶碗でお茶を飲む機会があり、初めて飲んだ時に、そのお抹茶を引き立てる白の美しさに感激して、白磁を志すようになったそうです。
井上萬二氏の言葉、「造形の美というのは、その人の心が映し出される。健康で爽やかな心でいなくてはいいものはできない」という言葉を座右の銘にして、遠藤ひろし先生は日々作陶に精進していらっしゃるそうです。
作陶展では、野の花を生けたいと白磁の小さい花入れが喜ばれたり、お部屋のインテリアにもなると精巧な造りのランプシェードやモダンな造形の菓子皿なども人気がありました。